スーパーマーケットにおける値引きの仕方は?値引きする基準と考え方について

スーパーマーケットにおける値引きの仕方は?値引きする基準と考え方について

当サイトでは、運営維持のために広告を使用しています。

値引き作業時に、ただなんとなく時間がきたらシールを貼っていないでしょうか?
また、「今日は値引きしたけど商品がたくさんある!」「今日は早く値引きしすぎちゃったかも」と正解がわからずに常に変則的な値引きに頭を悩ませたりしていないでしょうか?

この記事では、主に製造部門の値引きについて、10年ほどスーパーに勤めていた筆者が新人チーフやパートさん向けにわかりやすく解説していきます。

具体的に

・商品を値引きをする理由
・値引きのタイミングの考え方
・値引きを賢くやって利益を残す方法

など、明日からすぐに実践できる事を記載します。

忙しい人は目次から飛べます▼

値引きをするのは売れないからではなく価値が下がったからと考える

まず、そもそも「なぜ値引きをするのか?」について考えてみましょう。

値引きをする理由はその商品の価値が下がったからです。
たとえば、

・前日作った商品と当日作った商品の差

・流行が終わってしまった。(キャラクター玩具)

・賞味期限間近の商品

・鮮度劣化

これらはどれも価値が下がっているということになります。

前日作ったパンと当日作ったパンが一緒に並んでいたら、日付を確認しない限りはわざわざ古いものを買わずに当日の物を買っていくかと思います。

誰だって出来立てや鮮度のいいものが欲しいはずです。
すると当然前日の物は余ってしまいます。

そこで値引きすることで

・当日作った198円のパン

・前日作った168円(30円引き)のパン

この2つのパンをお客さんがどちらを買おうか…と選べるようになるのです。
値引くことで、安い方を取るか?鮮度をとるか?…という商品を選ぶ土俵に入れることができます。

ですから、その商品の需要は常に考えておく必要があります。

時間帯ごとの商品の需要について考えてみる

次は時間帯ごとの商品の需要についてです。商品の需要は時間帯によっても異なります。

例えば19:00にピザのホールが売場に残っていたとして、それを食べる家庭がどのくらいあるのか?を考えてみるとわかりやすいかと思います。

ホールは1人では食べきれないサイズ→大抵家族で食べる。

家族の夕食の時間を考えれば19:00に買い物をして、そこから夕食をとると考えると…時間帯的に家族そろっての夕食需要は少ないと考えられるますし、19:00から遅くなればなるほど需要は減ってしまいます。

これがお刺身であれば、仕事帰りの人が買って帰るため商品に需要があります。
デリカ部門の総菜においても、仕事帰りの人の需要は高い商品です。

パンであれば、食卓ロールなど朝食需要の高いパンの方が夕方に売れたりします。

店舗の立地(駅に近い)などもありますが、自分のお店と売場のお客さんを見てどのような商品が求められているのかを見てみると良いと思います。

値引きのタイミングは時間帯売上と客数をチェック

では、いつのタイミングで値引きをしたらいいのか?
会社のルールや上司からの指示はあると思いますが、普段のデータを把握するとやりやすくなります。

部門の前週の同曜時間帯売上と店客数をチェックしてみてください。
例えば19:00には1時間に170人いたのに、20:00には50人になっているなら
20:00の値引きで値引いたところで、ほとんどお客さんがいないということなります。これでは遅いです。

例:部門の時間帯売上と店客数

17:00~12(千円)200人
18:00~12(千円)190人
19:00~8(千円)170人
20:00~3(千円)50人

もちろん商品が売れてしまって全然ないのであれば話は別ですが、お客さんがいるうちに値引きをしないといくら値引いても買ってもらえません。

ただ、お客さんが来るからと言って夕方ピークの17:00から値引いてしまうと、この後お客さんが来なくなる20:00まで3時間もあるので値引きが早すぎるのです。

このようにデータを確認することで来るだいたいの客数と販売金額がわかり、値引きの目星をつけることができます。

前週に何時に値引きをしてるかも確認が必要

商品は均一に値引かない!

値引きをスタートしたらすべての商品を値引かないといけないわけではありません。
例えば、その日明らかに売れていない量が多い商品は、他の商品よりも早めに値引いて良いと思います。

反対に気を付けなければならないのは、売れているのに同じように値引いてしまうこと。
売れているなら値引く必要はありません。

例えばホールのピザの話に戻りますが、世間的にホールのピザの需要が高いのは、お盆やクリスマスなどの家族で集まる場面で需要が高まります。

そのような時は値引きをしなくても売れるので、いつもと同じ時間だから…と他の商品と一緒に値引く必要はありません。
また、人気がある商品で数が少ないのであれば「時間だから!」といって無理に値引く必要はありません。

外的要因についても考える

値引きをする際に考えなければならないことに「客数」がありましたが、外的要因による客数の変化を考えることも必要です。

時間帯ごとに天気を確認する

1番わかりやすい要因は天気です。
天気予報のアプリで天気を見てみてください。
1日の天気を確認するのではなく、値引きをする夕方の天気はどうでしょうか?

・雨は降るけど、夕方にはやむ。

・晴れていたのに夕方から降り始める。

ではお客さんの入り数は全く変わってきます。

夕方にやむ場合は、夕方にもお客さんは来てくれそうですが、売場の残り具合を見て商品量が多いなら早めに値引かなければなりません。

晴れていたのに夕方から降り始める場合も同様で、土砂降りになるならお客さんは見込めないため、早めに値引きを始める必要があります。

時間帯ごとに天気を見て予測すると良いかと思います。

イベント時は普段と商品の動きが変わることを意識する

花火大会やクリスマスなどの夜型イベントは通常と動きが変わってきます。
花火大会の会場からお店が近ければ花火大会開始時間前終了時間後はかなりのお客さんが来ます。(花火を打ち上げ中の客数は少ないです。)

また、クリスマスもだいたいパーティーが始まるあろう、19:00以降からチキンやピザなどパーティー需要の商品は売れなくなり客数も減り始めます。

イベントの必須アイテムはその時間帯しか売れないので、客数を見ながら早すぎず遅すぎずの商品動向を見ながらの値引きが必要となります。

値引くだけではなく商品の原価を理解する

値引き作業は「時間になったら値引きシールを貼る」をしてしまいがちですが、その商品の原価がいくらで値引きをした瞬間にもうけがどのくらいになってしまうのかを考えたことがあるでしょうか?

その商品の原価値入率を確認してみてください。

商品の価格設定は原価に上乗せすることでその差額を利益としています。

原価を割ったら利益はマイナスになるし、値入=もうけなので値入率(もうけの%)が50を割ってたらその商品に半額のシールを付けた瞬間に赤字になります。
【式を覚える必要なし!】小売業で使う計数の使い方を簡単にわかりやすく解説!

例:98円のパン

売価原価値入値入率
98円58円40円40.8%
値引き値引き後売価値入値入率
20円78円20円25.6%
30円68円10円14.7%
半額49円‐9円‐18.36%

よく値引きした分がもったいないからといって粘って結局廃棄になってしまうパターンがあるのですが、廃棄の場合は儲けは0な上に、フードロスの観点からみても最悪な状況となります。

30円値引けは10円でも利益になったのに、廃棄すれば利益やそれに費やした経費をすべて捨てることとなります

このように儲けがいくらになるのか?を知っていると、やはりできるだけ定価で、少ない値引き額で買ってもらえるようにしようと思えるのではないでしょうか。

ロスは値引きロスと廃棄ロスで考える

ロスにも種類があって、単純に捨ててしまった廃棄ロスと値引きして売れた値引きロスがあります。
同じロスでもただ捨ててしまうより、安くして少しでもお金に変える値引きロスの方が良いです。

1日のロス率を計算する際にそのロスの中身が値引きロスか?廃棄ロスか?でもその後のロスに対する対処方法が変わってきます。
これについてはまたどこかで話します。

かといって、いくら商品が多いからと言ってむやみに半額にしてしまうと、その値段でしか買ってもらえなくなってしまいます。
半額は自ら商品価値を下げる行為になるので安易にやるのはおすすめしません。

値引きはあくまでも最終手段!値引きをする前にすること

値引きというのはあくまでも最終手段なんだよという考え方が需要です。
時間がきて「う~ん、売れなかった。値引き!」ではなく、値引きをする前に値引きを減らす行動をするのが大切なのです。

・商品を客導線や平台などの目立つところに異動させる。
その場所で売れていないのであれば、より売れる場所に移動させます。定番なら下段が良いです。

・訴求を変えてみる。
訴求に価値を感じてもらえないのであれば、アピールを変えてみます。

価格だけしか書いてないのであれば、どのような味がする商品か?どのような調理がおすすめか?など
スーパーマーケットで「売る」為の販促POPの作り方と心構え

・店内放送をしてみる。

・昼の時間帯にタイムセールとして販売してしまう。

あまりにも商品が多くてどうしようもないときや、送り込みが多すぎる、天気が急に変わって対応できないときはタイムセールとして一部商品をその時間帯だけのお客さんに買ってもらうこともできます。

売れない時は値引きをする前にどんどん商品に手を入れていくことが大切です。

まとめ

値引きというのはお客さんの需要や価値を考えて行うものです。
多ければ値引く、少なければ値引かない。
考え方さえわかれば、それを仮説として実際にやってみることが大切です。

以前ご意見用紙に「私が行った時間に値引き商品がない!この寿司は生活の中のささやかな楽しみなのに!」と書いてあるのを見たことがありますが、あくまでもお店側は商品の需要や価値で判断し、商売として利益を残す為に行っているため、お店側の立ち場になった時にこれがいかに叶えることのできない意見であるかがわかるかと思います…。

この記事でのポイントを利用して、お客さんと駆け引きをしながら上手に値引き作業に取り組んでみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA